登壇してくれた方が発表していた資料の中に
「仕様書には、ユーザー感情についての内容が書かれない」
と言った物があった。
ゲーム作りを「作品」づくりと思って作っている人間には、この内容は結構重要なのではないかなと思った。
このような考え方をしている人はあまり見たことがなかったので、この方に懇親会で一つ質問をしてみた。
・ゲーム業界で働いていて、面白さを学術的に勉強して取り入れてる人を見たことが無いのだが、見たことがあるか
という物だ。
この記事は、この方が言っていた事と質疑応答から、いくつか考察をして知見を深めてみるメモ的な記事になっている。
〇仕様書にユーザー感情を書くという事
筆者はゲーム制作に愛情という物を感じたことが無いので、ゲーム制作という作業は、仕様書に忠実に作業を行うよう事だと思っている。
(間違っている事に気付いたとして、それをそのまま進める、とかいう忠実という意味ではないですよ。プロジェクトに支障が出るようなことはしませんよ、当たり前ですが)
まぁ、それですら仕様に様々な矛盾があり、それを指摘したりするのは日常茶飯事なのだが、それらの行動原理はあくまで
・後からどうせ修正する事になるので「自分の為」に行う
・使いにくさ、操作しにくさのユーザビリティの面では気を遣う
・それを書いている人間本人が気づいていないであろう矛盾の指摘をして、後から発生する作業の為の備え。やはり「自分の為」である
この程度の話であり、面白さやユーザーの為を思って作業した事は無い。
もちろん、面白さの案をくれと言われた場合は、そのために考えられる事はきちんと考えるが、仕様を改変してまで(自分で責任を負ってまで)意見を通そうと考えたことはない。
筆者は最近、この考えを「製品づくり」と呼ぶようにした。
つまり、設計図通りに物を作る、そこに個人の感情は関与しない機械のような感じだ。
そしてチームの中には、それとは対照的に、ゲームが好きで、ゲームを愛していて、作り上げるゲームをより良い物にしようと考える人間が居る。
彼らは、ユーザーの事を考え、面白さの事を気にして、時には自ら作業を増やしてまでクオリティを上げようとする。
彼らの考えを「作品づくり」と呼ぶようにした。
絵画を書き上げるような、職人のように仕事を取り組む姿勢である。
果たして、ゲーム制作作業とは「製品」なのか「作品」なのか。これは、正直よくわからない。そして、どちらも正しい面と間違っている面が存在すると思っている。
まぁ、この話はいったん置いておく。
重要なのは、「仕様書にユーザー感情を書く」という行為は、間違いなく「作品づくり」と思っている人間に対しては必要になってくるのではないかな、という事だ。
彼らはそれが面白いのかどうかを気にする。であれば、その根拠を提示しないと、意見が食い違った時の納得感に差が出ると思うのだ。
筆者は将来、仕様書を書くのが苦手な人間から、仕様書を書くという部分だけを請け負って作業をしようと考えているのだが、その際に、この「作品づくり」と思って仕事をしている人たちに対する仕様書でのアプローチの仕方の一つとして、きちんと面白さの根拠としてユーザー感情を書く、というのを、ゲームの面白さを考える方に依頼しないといけないなと思った。
〇学術的に面白さを研究している人間が、業界にいるのかどうか
予め言っておくと、アルコールも入っていたし、出会って数分の人間がした質問なので、正確な情報かどうかはわからない。あくまで参考にという内容になっているのでご了承いただきたい。
この話をしてくれた方にした質問
「ゲーム業界で働いていて、面白さを学術的に勉強して取り入れてる人を見たことが無いのだが、見たことがあるか」
この問いに関する答えは
「学問的にゲームの面白さを勉強しているディレクター、プランナー(多分エンジニアも)はあんまりいない。」
という物だった。
やっぱそうなんだなーと思ったと同時に、何故そのように勉強している人間が少ないかと思った時に、「作品づくり」と思っている人間は、もしかしたら面白さという物は学術ではなく、何か感情的な物から生み出すと思っていて、だから勉強をしないのかなーとか、根も葉もない根拠を勝手に妄想した。
〇ゲームに対する愛情は必要なのか?
この人が雑談で話してくれた事なのだが
・ゲームに愛が無い人間は、面白さを感じる事が出来ない。故に、学術的に面白さを体系的に研究する。結果、ミドルヒットくらいの面白さを作り上げることは出来る
・ソシャゲが流行った影響で、ゲームに愛が無い人もゲーム業界に参入しやすくはなって来た。
・現場は愛があっていいが、マネージャは愛に左右されてはいけない。マネージャが愛に左右されると、糞プロジェクトになる
と言った事を話していた(うろ覚え)
この中で、マネージャは愛に左右されてはいけないというのは、大事な事だと思う。
商用でアプリを開発するという事は、間違いなく納期とお金を気にして成果物を提出しなければならないので、それは「製品づくり」をしていると認識していないとできない事だと思う。
なので、現場が愛情故の暴走に走ったら、時にはマネージャがそれにNOを突き付けなくてはならないのだろう。
〇総評
仕様書への不満解決へのヒントとか書きながら、良くわからない内容の記事になってしまった。
どれもこれも根拠のない話だし、想像の域を出ない。
しかし、このような想像をして発信して、また誰かの意見を貰えるのであれば、これも無駄なことではないのだろう、と無理やり納得しておくことにする。
とりあえず、現場には愛情も持って仕事に取り組んでいる人間がいるという事を忘れず、彼らに対するアプローチは間違えないようにしないといけないというのは、新たな考え方として心得ておくようにする。