身内が末期ガンになり、介護も含めいろいろと手助けが必要になり、調べたり体験したりして得た教訓などを共有する。
今回は、高額療養費制度と限度額適用認定書。
恐らく、名前を聞いたことはあるけど、実際にどのような制度かわかっていない方も多いのではないだろうか。
結論から言えば、この制度はセーフティネットにはなっていないように感じた。
国が思っている「高額」と、現実的な「高額」の感覚に剥離があるなーというのが、筆者の感想である。
いくら国が胡散臭いとは言っても、こういう公的な制度を利用する場合は、きちんと国の情報を参考にすること。
〇概要
まず、日本の保険制度に関して。
日本という国は、会社に雇われていれば「会社加入の保険組合」、
そうでなければ「国民健康保険」に加入することになっている。
それぞれの組織に保険料さえ支払っていれば、「医療費として定義される費用」が、
本来の「3割負担」になるというのが、主に享受できる特典である。
(ちなみに、何らかの理由で支払いせずに、保険資格が停止していた場合、ガチで10割払い(通常の約3倍の値段)になる。)
しかし、いくら「医療費として定義される費用」が「3割負担」だったとしても、
長期的な入院、費用の高い手術など、3割でも「費用」が高額(100万超え)になることもある。
「高額療養費制度」という物は、その「3割でも100万」などの、「高額な医療費」に関して、
「一か月の医療費の支払いに関して、1つの支払窓口に対して、ある一定以上の額を超えていた場合」に、
「その一定額の支払い以上は、後で返還される」という制度である。
まぁ、実際にいくらが上限なのかというのは、ご自身で調査していただきたいが、
大体「8万」超えたら、「8万」で打ち止めくらいに考えておくとよいだろう。
ここまでで、筆者も勘違いしていたことが一つあるのだが、
この「1つの支払窓口に対して」というのが結構重要で、
治療が複数の病院に跨る場合、例えば
1. 訪問医療+別の病院への入院
2. 治療と薬の処方が別窓口
3. 介護施設の医療に掛かるサービスの業者がそれぞれ別(治療、看護、薬)
これらの場合、それぞれ「別枠」で上限が適用されるという事だ。
かかった窓口の合算で「8万」というわけではなく、
例えば、上記の3の場合は、最大で「24万」の支払いが発生するのだ。
なので、まず頭に入れておいた方が良いのが、
「高額療養費制度の一定以上の支払いのラインは、思っているより高額」
ということを、認識しておいた方がよいだろう。
次に、「限度額適用認定書」の話である。
「高額療養費制度」単体の利用だと、上限は適用されるものの、それは「払った金額が、後で返還される」制度である。
つまり、最初に「そのかかるはずの高額のお金(例えば、100万)」を支払う必要が発生する。
それだと、そもそも「そのかかるはずの高額のお金(100万)」が支払えないから困る事が多いと思う。
その場合に、予め「上限のみの支払い(8万)」ができるようになるのが、
「限度額適用認定書」という物だ。
これは、各自が加入している健康保険が窓口として対応しているようなので、
必要になった場合は、相談してみると良いだろう。
〇まとめ
・「高額療養費制度」とは、一つの窓口でかかる「医療費」が、月に8万超えたら、8万以上支払ったものは、後から返還される制度の事。(上限や条件は、わかりやすく8万としているだけなので、実際の金額と条件は自身で調べること)
・「高額療養費制度」だけでは、一時的にも高額なお金を支払う必要が出てくるので、最初から支払わなくて済むようにする為に必要な物が「限度額適用認定書」
・「高額療養費制度」といえども、全てが一括で8万になるわけではなく、複数の支払窓口がある場合、乗算式に費用が掛かってくるので、思考停止で安くなるとは考えないこと
次回は、「高額療養費制度」の落とし穴について記載する。